【#行政書士】(個人的な備忘録)2016年本試験問題10の疑問点

以下では,個人的な備忘録として少し気になったところを書いておきます。行政書士試験で求められている理解のレベルよりもだいぶ難しい議論ですが,頭の整理をしたいため,書いておきます。
理論的な構成の裏付けはこれからになりますが,同じ疑問を持たれた方もいらっしゃると思いますので,参考にしてみてください。
なお,以下の検討でごちゃごちゃ言っていますが,試験的には結論は覆らないと思いますので,昨年のような没問の期待はしない方が無難です。

【2016年行政書士本試験】
問題10
ア 行政処分の取消訟において,処分取消判決が確定したときであっても,同一処分に関する国家賠償訴訟において,被告は,当該処分を行ったことが国家賠償法上は違法ではないと主張することは許される。

この肢について,他の肢との関係から,上記のとおり,「正しいもの」であることを前提にしなければならないのですが,少し疑問があります。

まず,アの肢の状況ですが,取消判決が確定しているため,既判力等の効力が生じています。
このうち,後の国家賠償請求において,当該処分の違法性の主張が許されるのかに関して問題となっているので,判決の「既判力」の問題となります。

では,取消判決の既判力は,客観的にどの範囲に生じるのかを検討すると,これは,「主文に包含されるもの」に生じます。
そして,この「主文に包含されるもの」とは,「訴訟物」のことをいい,取消訴訟における訴訟物は,「処分の違法性一般」と解されています。

このことを前提にしつつ,今回,「取消判決」がなされていることから,既判力は,「処分が違法である」という点に生じているということになります。

この点に関して,被告が,後訴において,当該処分の違法性を主張できるかは,国家賠償法上の違法性と取消訴訟における違法性とが同一と解するか否かによって結論が分かれます。
ここで,取消訴訟における違法性と国賠法上の違法性とが別の判断になるという立場に立てば,被告は,後訴において,当該処分が適法であった旨を主張できると問題なくいえます。これに対して,仮に同一であると考えたときには,「違法である」ということは主張できず,「過失がなかった」という点の主張のみできるように思います。

判例がどのように考えているのかに関する評価については,見解が分かれているところですので(たとえば,宇賀Ⅱ437頁は,最判平成16年1月15日(民集58‐1‐226)について,「明確に公権力発動要件欠如説に立って,違法性と過失の二元的判断をしている。」とされています。つまり,国賠法上の違法と取消訴訟の違法性が同一であり,かつ,過失の判断を別個に行っていると評価しています。),「国賠法上の違法を主張できない」という部分が,引っかかっています。

さらに,他の書籍をみると,「取消判決の違法の判断は当該処分の違法を理由とする国家賠償に及び,被告公共団体当該行政行為が適法であったことを主張することができないとするのが一般的見解である」(塩野Ⅱ186頁)とされています。

以上のとおり,若干疑問が生じるところですが,国家賠償法の違法について,職務行為基準説(一般的にはこれが判例の立場であるとされることが多いです。)を前提に考えると,本肢が正解ということになる以上,○で取り扱わなければならないのも事実です。とはいえ,本当にそれでいいのかについては,判例の解釈も含めてもう少し検討の余地がありそうです。

また,何かわかれば,ブログにアップします。

【参考書籍】
宇賀Ⅱ:宇賀克也『行政法概説Ⅱ【第5版】』(有斐閣)
塩野Ⅱ:塩野宏『行政法Ⅱ〔第五版補訂版』(有斐閣)
関連記事

テーマ : 行政書士試験
ジャンル : 学校・教育

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:やすだたかゆき

Amazonプライム
カテゴリ
メールフォーム
ご質問,お問い合わせはこちらから

名前:
メール:
件名:
本文:

オススメ
にほんブログ村ランキング
もう少しでランキング一位です。下記ボタンから投票下さいますよう宜しくお願い申し上げます。
最新記事
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
カウンター
月別アーカイブ
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
最新コメント
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
ツイッター
リンク
QRコード
QR
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
学校・教育
721位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
塾・予備校
72位
アクセスランキングを見る>>